やっぱりマーラー、今度は巨人。アバドです。

アバドマーラーはいいですね。

今回の交響曲第一番「巨人」の演奏もルツェルン音楽祭でのLiveです。

2009年の演奏です。

アバドは2000年に胃癌にかかって復活したわけですが、こんな大事件を知っていると、演奏とも絡めたくなります。

本当は必要ないことだと思いますが。

相変わらずアバド自身は程よく力が抜けて、オーケストラの演奏者ばかりが緊張感を持って演奏している印象です。

たぶんこの辺のことが原因だと想像しますが、ピーンと張りつめた演奏ですが、押し付けがましさが感じられません。

この曲はマーラーが指揮者としてのキャリアを始めたばかりの頃の20代後半に作られました。

マーラーはドイツの文学作品を音楽の発想と絡めたようですが、この曲もジャン・パウルというドイツ・ロマン派の作家の小説「巨人」に倣って作曲したそうですが、最初交響詩としていたのに、第二楽章を外して4楽章の交響曲にしました。

後年の複雑な構成からすると構成がはっきりとまとまっているので、交響曲は納得です。

演奏しながら出来上がっていくようなLive感に溢れた演奏なのに、ここでも特に音楽の輪郭がくっきりと浮かび上がってきています。

アバドがオーケストラの中に溶け込んでいるようで、舞台にははっきりとアバドが見えている、そんな演奏です。